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〜レス妻の目覚めの記録〜

スローセックスを理解するための土台を整える「スローセックス完全マニュアル」その1

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スローセックスを理解するための土台を整える「スローセックス完全マニュアル」その1

 

前回の記事がまだの方は是非ご覧ください。

 

では、アダム徳永さん(以下、アダムさん)の『実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル※1』の本の内容をご紹介していきます。スローセックスとは何か、その理論の土台にある考え方をみていきましょう。

 

 

悩んで終わり、のセックスの不思議

まず、アダムさんは 「はじめに」の中で、読者に問いかけられています。

恋人や夫、妻はいるのに心のそこから気持ちいいと思えるようなセックスができない。そんな時、あなたならどうしますか?(中略)私が観察するに、日本人のほとんどは、セックスのトラブルに遭遇したとき、悩むことはしても、それ以外のことは何もしていません。何もしないから解決できないのです。

p3

 あぁ、ほんとだ…。

 

人間は、脳に寄せられた”皮膚感覚の苦情”を、どう対処すればいいのかいろいろ考えて、創意工夫という人間の英知で解決していく能力を持っているのです。

私たちは、例えば、暑ければ風通しの良い服を着たり、クーラーをつけたり、冷たいものを食べたりと工夫をします。寒い時は、寒い時の対処をします。

 

しかし、暑い時や寒い時は普通にできるのに、セックスが「気持ちよくない」という、その人の心にまで悪影響を及ぼす重大な”不快さ”を感知したときに限って、突如として機能停止してしまう現状を、私はとても不思議に思います。

p3−4

 

さらに本文中には次のような記述が見られます。

 

「野球が上手になりたいと思えば、一生懸命に努力します。仕事でも勉強でも、目標を達成するには、努力や工夫、そして一定レベル以上の知識や技術の習得が不可欠」です。「これはセックスでも同じはず」で、「女性を喜ばせたいと思うならトレーニングが必要なのです」。「しかし、実際はしない」。

 

これは、ろくにキャッチボールもできないのに野球の公式戦に出場しているのと同じことです。

p34

と。

 

もう、ぐうの音も出ません。

 

ずっと性のことを見て見ぬ振りをしてきた、自分のことを指摘されているようでした。どこかに隠れたい気持ち…いやいや、性と人格は切り離すんだった。

 

どうして人は、性のことになると盲目的になってしまうのでしょう。

これは、男性にも女性にも、改めて気付いていただきたいことです。

 

 

一般的なセックス本と本書との違い

先ほどの引用の続きに、

「経験を積めばなんとかなる」というのも正しくありません。ちゃんとした知識や技術という基礎が根底にあって初めて、経験は経験としてカウントされるのです。

p35

と書かれています。

 

この「ちゃんとした知識や技術」を伝えられているのが本書になるですが、では、ここでの「知識や技術」が一般的なセックス本とどう違うのか。そこを理解することが、読み進めていく上での要となると思います。

 

一般的には、いいセックスをするには、「愛が大事」「思いやり大切」「女性の立場に立った前戯がなくてはならない」というようなことが言われていますし、この本にもそのような表現が出てきています。

 

でも、愛とか思いやりとかって、漠然としていると思うんです。

実は私、これまでこういう言葉があまり好きではありませんでした。押し付けられているような気分になるというか。時には、強要したり、正当化の道具になったり、できないときに責める材料にもなりえる…言葉が持つ、そんな暴力性を感じていたのかもしれません。

 

でも、愛や思いやりというのは、本当に気持ちいセックスをすると自然と湧き起こってくるものだということが、本書を読んでわかったんですね。

 

だから愛や思いやりがまず先にあるのではなくて、まず気持ちいいセックスを徹底的に実践することが重要で、

  • そのための知識と技術を身につける
  • 同時にこれまでの様々な思い込みを手放していく

と捉え直すことがポイントになると思います。

 

この「気持ちいいセックスを徹底的に実践する」するためのメソッドが「スローセックス」ということになります。

 

そして正しい知識や技術を身につけ、実践した先に、世界が大きく変わることを知っていきます。

 

 

スローセックスと性メカニズム

アダムさんのスローセックスを理解する上で、鍵となる性メカニズムについてご紹介します。


科学的、医学的でないと感じられるところもあるかもしれませんが、アダムさんが様々な悩みや課題を抱える多くの女性たちを丸ごと受け止めながら、(執筆時点で)「十数年の歳月と、1000人以上の女性の協力を得て構築」され、検証されてきたものです。そして現在も研究・検証を続けられています。

 

その中で、女性が持つ計り知れないパワーと、既存のセックス観による弊害を目の当たりにされてきました。女性の性的な潜在能力を存分に引き出し、セックスがもたらす素晴らしさを体感するための、重要な理論や貴重なメッセージを私たちに伝えてくださっています。

 

性感脳とリラックスモード

まず理解の土台となる、「性感脳」という考え方について。

快感を感じているのは皮膚ではなく、脳だということは、以前の記事で婦人科医の著書から抜粋してご紹介しましたが、アダムさんはそこからさらに独自の理論を展開されています。物理的な刺激を「気持ちいい」として受け取る脳の働きを「性感脳」と定義し、性的な喜びをもたらすにはこの性感脳を開き、活性化させることが重要だと述べられています。

 

そして「性感脳」を活性化させ、女性が気持ちよくなるためには、体がリラックスモードになっていることが必要条件だと合わせて説明されています。女性は男性のように、急にスイッチを切り替えられるわけではなく、閉じている心を開くプロセスが必要なのです。

 

図にしてみました。

通常モード、リラックスモード、官能モード

 

心が緊張した状態というのは、性感脳が閉じた状態であり、どんな優れたテクニックもその効果を発揮させることはできません。

 

極端な例を出せば、女性を力づくで脅しながら「感じろっ!」と命令しても、絶対に女性は気持ちよくなれないということです。

女性は官能(興奮)モードに至る前に、必ずリラックスモードを経由する。

p57

 

リラックスすることの重要性は、こちらの記事で書いた通りです。

sexual-bookmark.hatenablog.com

 

「性感脳」と「リラックスモード」という2つのキーワードをまずは覚えてください。

 

 

アダムタッチ

では、女性をリラックスさせ、性感脳を開かせるためにはどうすればいいでしょうか。

さまざまな要素がありますが、ここではスローセックスの根幹を成す愛撫法である「アダムタッチ」というタッチ法について紹介します。

 

それは、指先が女性の肌に触れるか触れないかの、超ソフトな愛撫法です。

「強い刺激ほど感じる」という思い込みがそもそもの大間違い。強いとは真逆の”微弱”な愛撫こそ、女性の性感帯に理想的な刺激を送り込むのです。

p90

 

この愛撫法の素晴らしいところは

単に女性をイカせるテクニックではありません。同時に感じやすい体質への劇的に変化させていく

p90

ところにあります。

 

具体的な方法は動画の方がわかりやすいので、こちらをご覧ください。

 

youtu.be

 

 

アダムタッチで性感脳が開いてくると、女性はどうなるのでしょうか。

頰を撫でただけでも狂おしく官能します。肩をそっとアダムタッチするだけでエロティックな喘ぎ声を上げ、手の甲に優しく触れただけで身をよじり、乳房にゆったりと指先を這わせただけで…

p69

 

セックスで官能する女性ほど美しいものは存在しません。(中略)それは神々しいほどの輝きを発しています。

p70

 

「どんな芸術作品よりも美しく、どんな官能小説よりもエロティック」なのです。

 

それは、「女性の絶頂ブログ」で見た、数々の女性たちの姿そのものでした。

sexual-bookmark.hatenablog.com

 

そして以下の記事で私が興味を持った性感マッサージは、アダムタッチをベースにされていたのです。

sexual-bookmark.hatenablog.com

 

 

イクと感じるは違う

スローセックスを理解して実践するために、もう一つ知っておかなければいけない考え方があります。それは、「感じる」と「イク」は、実は別物ということです。

 

両者の違いを、コップにたまる水に例えて解説されていました。

カラダが感じている状態は、コップに水が注がれて次第に溜まっている時間のことです。そして本当の意味での”イク”というのは、水がコップの上まできて、最終的に表面張力の限界を超えて水がコップから溢れ出す瞬間のことです。

p43

 

コップの水は性エネルギーのことで、つまり

  • ”感じる”とは性エネルギーが充填されつつある状態
  • ”イク”とは、性エネルギーが溢れ出す現象

なのです。性エネルギーとは「快感と性的興奮によって生じるエネルギー」(p23)のことと定義されています。

 

図にしてみました。

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「感じる」と「イク」の違い

 

気持ちいいセックスをするためには、性エネルギーを大量に発生させ、限界までお互いの体に充満させることが重要になります。それには「イク」へのこだわりを捨て、「感じる」ことに意識をシフトしなければいけません。

 

私が提唱する”スローセックス”とは、愛する男女が時間を忘れて”感じる”を楽しむことで、性エネルギーの総量を限界まで高めていくセックスです。

p44

「愛する男女が時間を忘れて”感じる”を楽しむ」というフレーズが響きます。

 

 

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性エネルギーをしっかりためることで、快感が大きくなる

 

 

さらに注目すべきは、正しい愛撫法を繰り返し女性に施すことによって、女性が持つ容器がどんどん容量を広げていくということ。

 

男性の正しい愛撫テクニックによって、女性の容器は、コップからバケツ、バケツからドラム缶へとどんどん大きくなっていきます。もう無限大です。

p45

 

 

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正しい愛撫法により、だんだん大きくなっていく女性の性的キャパシティー

 

容器が大きくなるほど、快感のエネルギーも大きくなり、やがて男性が想像もつかない超絶の爆発現象も起こり得るのです。

 

これが女性の持つ素晴らしいポテンシャルです。女性の皆さんは、自信を持ってください。なぜなら、このポテンシャルはすべての女性に平等に与えられているのです。

p46

 

女性として、とても励まされます。

 

性エネルギーを溜めるためになくてはならないのが、アダムタッチ、ということになりますし、女性が持つ性的な潜在能力への理解も鍵になります。

 

 

不感症に悩む女性の95%は全くの正常、しかも女性は全身が性感帯

アダムさんは、2004年に「アダムスクール」というセックススクールを設立・運営されていたのですが2013年に終了、現在はプライベート講習という形で、男性やカップルに指導されています)、受講された女性の大半が、自分は不感症だと深刻に悩んでいたそうです。しかし

 

男性にも女性にも知って欲しいのは”不感症に悩む女性の95%はまったくの正常”ということです。

p73

なぜなら、「性感脳」のところで説明したように、快感を感じているのは皮膚ではなく、脳であり、触れられたときに、くすぐったいといった刺激を感じることができれば、それだけで皮膚感覚は正常と言えるからなんです。

 

しかも

全ての女性は全身が性感帯です。

p35

 

全身が性感帯。しかも刺激を受け取る皮膚感覚も正常。

なのにどうして、多くの女性が、快感を感じることができないのでしょうか。それは男性が

  • ただ漠然と愛撫してしまっている
  • 女性の反応をしっかり確認できていない

ためです。

 

そしてその根底には、そもそも、女性は激しい愛撫こそ感じるという、AVによって刷り込まれた男性の思い込みがあるのだと思います。

 

愛撫に夢中になって女性のサインを見逃し、そのまま何もなかったように通り過ぎてしまい、「ああ、この人はわかってないな」と、女性をガッカリさせている男性のいかに多いことか。

p77

 

 

AVの世界観こそがセックスだと信じてらっしゃる男性にとって、にわかに受け入れ難いことばかりかもしれません。一方で女性は、これまでうまく表現できなかった違和感に気づき始めてソワソワされているのではないでしょうか。

 

 

これまでのセックス像がどんどん塗り替えられていきます。

 

 

(つづきの記事はこちら)

 

参考・引用文献
※1) アダム徳永. 実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル. 講談社, 2011.

アダム徳永『実践イラスト版 スローセックス完全マニュアル』