セクシャルブックマーク

〜レス妻の目覚めの記録〜

ずっと疑問だった昔の人の貞操観念

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ずっと疑問だった、昔の人の貞操観念 

アダム徳永さんの著書『男は女を知らない』によって私は、ずっと知りたかった

  • 幸せなセックスってどんなの?
  • どうすればそれができるのだろう?

 

という疑問だけでなく、さらには

  • セックスとは何か
  • なぜ男女は求め合うのか

という人としての根源的な問いに対する、一つの到達点とも思える世界を知ることができました。(詳細はこちら

 

やがて私の関心は、

 

「いつから人々はジャンクセックスをするようになったのか」
(ジャンクセックスとは、射精を目的とした一般的なセックスのことで、アダム徳永さんが使われている言葉 >>詳細

 

に移っていきます。

 

 

昔の日本女性は結婚するまで貞操を守った?

以前投稿した記事 

sexual-bookmark.hatenablog.com


でも書いたように、私は若い頃に母に言われた言葉の影響で、ずっと性に対する罪悪感を引きずっていたのですが、その時に

 
「日本女性は結婚まで操みさおを守るものだ」

というようなことを言われ

 

昔の日本の女性は、結婚まで男性に肌を許さなかったと思い込んでいました。

 

実際、母は恋愛経験はなくお見合い結婚だったし、祖母は祝言の場で初めてお互い顔を合わせたと聞いていたので、それより以前もずっとそうだったのだと思っていました。

 

でも、大人になるにつれて、特に、夫の影響で古典芸能の作品を観るようになってから、あれ?っと思うことが増えるようになります。

 

 

古典作品の中で…

例えば、歌舞伎や文楽で上演される

では、「遊女の身請け」というものが出てきます。

 

遊女の身請けとは、客が多額の金を払い、遊女をもらい受けるというもの。

 

冥土の飛脚」では、遊女に惚れた飛脚の男が、店の金を流用して身請けをしてしまい、追われの身となった二人を描いた作品で、

 

「廓文章〜吉田屋」では、遊女に入れ揚げて親から勘当されてしまった豪商息子が、みすぼらしい姿になり、それでも二人は熱愛同士で、最後は親から認められて無事身請けができた、というお話。

 

そんな作品を鑑賞しながら

 

ーー多くの男を相手にした遊女を身請けし、妻にするとは、どういうことなんだろう。

 

と、疑問が生じ始めました。

 

 

また、上方落語

  • お玉牛<おたまうし>(堀越村) → あらすじ

は、ある嫌われものの男が、美女のお玉に力任せでせまるお話。

お玉の

「今晩、裏の戸を開けておくから、そこから忍び込んできて…」

 

という内容のセリフがあり、その後夜這いの場面が描かれるのですが、それがとても印象に残っていました。


結婚前の娘が男にこのように言うということは、人々の暮らしの中で逢瀬のシステムが出来上がっていることでもあり、それが作品の中で垣間見えて衝撃だったからです。

 

 

春画で…

また、江戸時代の性風俗を描いた「春画」は、性器や結合部が誇張され、堂々と描写されていますが、春画は「笑い絵」とも呼ばれ、当時の人は楽しんで眺めていたことを知ります。しかも、男性だけでなく、女性も。

 

ーー江戸時代は現代と違って、性に対してとてもおおらかだったんだろうか。

 

昔、母から刻まれた言葉との整合性が、だんだんとれなくなっていきました。

 

 

誰かの話で…

さらに

  • 昔は夜這いし放題だったらしいよ
  • 江戸時代は性に寛容な社会だった

 

誰かのそんな話を聞くにつれ、

 

また

  • 春画の男女はなぜいつも着物を着て性交しているのか
  • 遊女はなぜ帯を前で結んでいるのか

 

そんな素朴な疑問も抱くようになり、

ある時、思い切って江戸時代の性事情に関する本を読んでみたのです。

 

 

図書館で本を借りて調べ始めた

図書館から何冊か借りてきて、最初に読んだのは『お盛んすぎる江戸の男と女※1』です。

 

「はじめに」を読んでいきなり、

 

玄人、素人という表現がある。(中略)
江戸時代、玄人と素人はもっぱら女を区別する呼称だった。玄人は遊女、芸者などである。素人は玄人ではない女。つまり、普通の娘や妻である。

※1 p3

 

「玄人は奔放で淫乱」、「素人はつつしみふかく貞淑」だったわけではない。こと性に関するかぎり、素人の女の方が大胆かつ野放図といってもよい面があった。玄人にはそれなりに遊里の掟があったが、素人にはそんな制約はなく、いわば淫欲のおもむくままだったからだ。

※1 p4

 

「昔の日本女性は結婚まで男性に肌を許さなかった」という思い込みは、あっけなく崩れ去ります。

 

さらに

 

当然ながら、男のほうは素人とも玄人とも分けへだてなくセックスをする。(本書は)その意味では「江戸の男と女」の性生活といえよう。しかも、実態は「お盛ん」だった。

※1 p5

 

なかでも玄人との性については、江戸の男は他人に、とくに女に蔑視されることも嫌悪されることもなく、おおっぴらに、堂々と満喫していた。当時は男の女郎買いに寛容な社会だったからである。

※1 p5−6

 

どうやら、本当に性に寛容な社会だったらしい…

今までの抑圧や思い込みはなんだったんだろうと、呆然としました。

 

(つづきの記事はこちら)

 

引用・ 参考文献
※1)永井義男. お盛んすぎる江戸の男と女. 朝日新書, 2012.