sexual-bookmark.hatenablog.com
こちらの記事の続きです。
私の元にやってきた二冊の本
そんな疑問を抱えながら、特に進展のないまま過ごしていたある日、私のブログを読んでくださったある女性から、二冊の本を紹介してもらったんです。
その時、私が読んでいた医心方は「タオ」と呼ばれるものであったことを知りました。
教えてもらった二冊の本はタオの専門書と言うべき本で、現代の解剖学や科学的な視点も取り入れながら、何千年も前の古代の性愛術を、今の私たちでも理解できるよう書かれていたものでした。
実際に読んでみて、かつて医心方を読んだ時に感じた様々な疑問や、長年の疑問への答えがたくさん詰まっている本だと感じました。
例えば医心方には、「射精をしてはなりません」という房中術の肝となる考えがあるのですが
- 精を漏らすと体にどんな影響があるのか
- そもそも精とは何なのか
- 精と気は同じなのか違うのか
- 精をめぐらすとはどうやるのか
といったことが詳しく書かれていました。
さらに「性エネルギーの正体」「性と霊性の関係」について強い興味があった私にとって、それに対する答えも明確に書かれていたのが驚きでした。
そして本書全体を通じて、私たちが「欲」「執着」といったものに支配される構造が見え、かつて感じていたインスピレーションは間違っていなかったと確信を得ることができました。
私が出会った答えは、ここでは書きません。
それは、私自身がもっと自分の中に落とし込んで、体現していくことで伝えていけるものだと思ったからです。
ここでは本のタイトルのご紹介だけにしておきます。
『タオ性科学』※2『タオ性科学:女性編 』※3という二冊の本です。
大昔の性愛術なんて迷信?
タオとか房中術なんて、なんだか怪しい、迷信でしょ?と考えていらっしゃる方もいるかもしれないので、本から少し引用します。
八千年以上の長きにわたる中国の歴史を通じて、精を漏らさず、愛の行為を交わし合う「房中術」の技法は、最奥の秘伝とされ、固く守り続けられてきました。初期の頃、これらの方法は、皇帝とその側近たちの住む奥の院だけで密かに実践されていました。彼らは、この技術を宮廷の顧問でもあったタオの賢者から学んでいたのです。
※2 p24
タオの老師たちは、決して迷信深い人たちではありませんでした。自然科学者でもあり、医学、化学、生物学、航海術やその他の諸分野においても西洋の科学者がようやく発見するまでに、それから二千年も待たなければならなかったほどの、驚くべき進歩を遂げたテクノロジーの基盤を築き上げたのです。
※2 p30
おそらくもっとも重要な点は、タオの秘教的な身体修行の方法が、儀式儀礼の中に葬り去られてしまうことなく、そしてまた、宗教教義の遷り変わりとともに散逸してしまうこともなく、いまなお命脈を保ち続けているという事実でしょう。それは門外不出の秘伝として、数千年もの長きにわたり、一子相伝に口承されてきたのです。これがなんとか書き記されるようになったのは、ようやく紀元二世紀に入ってからの事でした。
※2 p85
タオの道士たちが残した性に関する書物は、(中略)何千年もの歴史を通して、驚くほど一貫しています。これは多くの修行集団が、互いの能力や所在地、あるいは存在さえも知らず、またこれらの奥義は極めて秘密性の高いものであった点からみても、大きな意味があります。
※2 p94
タオの修業法が一子相伝の秘伝として口伝えで継承され、数千年間も命脈を保ち続けてきたと言う事実は、これらの技法には、実際に効き目があるということを物語っています。
※2 p7−8
タオは、数千年ともいわれる歴史(本書には八千年という表記も)ともいわれる歴史があり、さらに、それらが一貫して伝えられていたということは、注目するに値することだと思います。
なお、この二冊の本は、男性編(左)と女性編(右)となっています。
読む順番としては男性編が先なんですが、それには理由があって、男性は女性より性的に弱い存在である上に、知らず知らずのうちに性のパワーを消耗しているため、まず均衡を取れるようにする必要があるからです。
本書の序文にはこうあります。
男性はみな、女性の持っている底知れないセックスの力に魅了されている反面、正直に言えば、それを同時に恐れを抱いているのです。また、こうした怖れをどこかに抱えもっているがために、セックスに関していつも不安な気持ちを感じており、この怖れがあるがゆえに、それ以外の分野で力を獲得することによって、この感情を補償しようとします。
※2 p2
タオの考えによれば、ほとんどの人たちが、からだの奥深くに眠っているセクシャリティのパワーを、完全に目覚めさせるための秘訣がわかっていません。(中略)このような体験は、通常の生殖器官のみで感じるオルガズムの体験を遥かに超えたものです。
※2 p5
この「高次のオルガズム」とは、米国の性科学者たちが夢中になっている「ノーマル」なオルガズム、ないしは生殖器のオルガズムをさらに強調していく方向とはまったく正反対の道をたどることによってはじめて見い出されるものです。
※2 p6
これに続く本章では、その考え方や理論、実践方法などが紹介されています。
この本には、膨大な情報が凝縮して収められており、そこからさらに抜粋してお伝えすることは難しいと感じているため、本章の具体的な内容については控えさせていただきます。
ピンときた方は、ぜひ直接本を読んでみてください。
とはいえこの本は、「霊性の向上を目指している人たち」も、「俗世における幸福感を求めている人たち」も、どちらの興味にも応える内容になっているということも、付け足しておきます。
また、私が以前書いたブログもご覧ください。
合わせて読んでいただくことで、より深く理解していただけると思います。
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(続きの記事はこちら)
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引用・参考文献
※1 丹波 康頼. 医心方. 槇 佐知子訳. 筑摩書房, 2004, (房内篇, 28).
※2 謝 明徳. 鎌崎 倬寿(訳)編. タオ 性科学: 自然治癒力を高める陰陽和合の秘訣. 産学社エンタプライズ, 2000.
※3 謝 明徳. 鎌崎 拓洋(訳)編. タオ 性科学: 女性編. 改訂版, 産学社エンタプライズ, 2014.